PreSonus Studio OneStudio One の使い方メモ〜PreSonus Studio One DAW TIPS〜

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MS処理をする。MS処理とはなんでしょうか?

Studio One でMS処理をする方法を説明する前に、MS処理自体の話が必要な事態になってきてしまいました。

MS処理とは何か? について、以前は「他のサイトを見てね」と書いていたのですが、間違った情報が増えすぎて、あんまり適切なサイトがヒットしなくなったので、下記に入門編として記載いたします。
正確な内容については、信頼できるエンジニアなどにお尋ねください。

MS処理に関するよくある誤解

少なくとも次の3点を言っているブログは、完全に間違えています。
これらのことを書いているブログの筆者はMS処理について、全く何も理解していないと言えます。

RPG風補足:MS処理は1000%理解せずに使うと「メガンテ+パルプンテ」

で、結局MS処理はしたほうがいいのか?>1000%理解してからやりましょう。人に安易にすすめる人は全く理解できてない人です。

理屈を完全に理解していない限りやめたほうがいいでしょう。感覚でいじってしまうと、Mを操作するのもSを操作するのも、ドラクエの呪文で言うと「メガンテ+パルプンテ」です。特に2mix全体でマスタリングで安易に使うことを推奨する記事が非常に多いのですが、そういった記事を書いてる人は全く理解していないので「全てが間違っている」と思ってください。
それらのブログで多く述べられている"ミッドとサイドのバランス"は全てが間違えている話なので、レベル操作やパンなどはミックスでやればいい話です。

MS処理はラスボスを余裕で倒せるくらいになってから、どうぞ。

初心者にMS処理を薦めると言う行為は、スライムやドラキーを一生懸命倒しているうら若き勇者に「敵を倒すにはまずメガンテ+パルプンテを唱えるんやで」と教えるようなもの。
これは、いじめだと思いませんか?
ラスボスをAボタン連打だけで倒せるレベルになってから、どうぞ使ってください。
少なくとも初心者にMS処理をすすめる人は、MS処理を全く理解していないのですから。

(なお"MS処理を使う場合は1000%理解してから"についてはアメリカ東海岸の音響の学校で指導上の話で、私のオリジナル表現ではありません)

MS処理とは何をしているのか。その理解のあくまで第一歩としてご参考に。

MS処理は、新しい技術ということで述べられてるブログもありますが、1930年代からあります。また、コンシューマ市場では主に1980年代バブル期のオーディオに「ステレオ感を広げる機能」として、しばしば搭載されていた、非常に古い音声処理の方法です。
1990年代にミュージ郎と一緒によく売れてたスピーカー、Roland MA-4 の「ステレオプレゼンス」などもそうですね。 低域のパワー感を保ったまま高域の逆相信号を増やしているもので、スピーカーから聴く時にはいいのですが、それを完成された音源として配信するなどの場合には問題がたくさん出てきます。
難しい技術的な話を簡単にするのは難解を極めますが、理屈を理解していない人が行う単純な解説は根本的に道を間違う場合が多いです。
下記は筆者が頑張ってる原稿の現在のバージョンとして2023/1/29に加筆しました。
なんとかわかりやすくして、ネットの間違った内容に修正を加えるために、マジで風呂の中でも便所の中でも1ヶ月くらい一日中考え続けて出た解説ですが、もしもっと適切でわかりやすい表現が思いついたら、アップデートします。

Mの信号=センター、Sの信号=サイド、という表現は逆に理解しづらい。

M=ミッド、S=サイド、というのは、ステレオ空間にある音声信号の要素のことではありません。
センターはあくまでLR2chの両方にPAN LAWの塩梅により常に存在しています。

ミッドとサイドのボリュームを変えられる、というイメージは、まず捨ててください。
(※ネットに多いサイドが弱くなるという偽の情報はPAN LAWを無視しているので間違いです。信号レベルとしてはセンターが弱いのが事実なので、偽の情報に基づくと、全く逆のことをやっていることになります。)

Studio OneでMS処理

MSマイクの構造

M,S,のミッド、サイドという単語が誤解を産む原因の一つであると考えますが、語源は次のマイクの構造です。

MSでのステレオ信号の収録、MSマイクの構造は次のイメージです(ここでは話がややこしくなるので58の指向性などは考慮しませんが、Sの方は実際は双方向性です)

こういう状態で収録した信号を、M+Sの信号をLch、M-Sの信号をRchとするのが、MS処理です。
ミッド、サイドという名称はここから来ています。M=センターの音、S=左右の音、という意味ではありません

Studio OneでMS処理

で、結局MやSを上げ下げしたら、どうなるの?

このイメージをお持ちなら、とりあえず捨ててください。3ch分のオーディオの信号を調整するわけではありません。
なお、棒グラフ状のものでMS処理を図解することは不可能なので、棒グラフ状の図を使ってる時点で、そのサイトが誤りである可能性が非常に高いです。

Studio OneでMS処理

実際の挙動は、次のようになります。
単純に「サイド成分のボリュームを上げている」というわけではないので、理解できない場合は無理やりやらないほうが安全と思います。
ここでは一番わかりやすい弊害のみ記載しますが、
逆相とはプラスマイナスが逆の信号ということで、モノラルになった場合に打ち消しあってゼロになってしまいます。

Sを上げる LRで逆相の信号が増える=モノラルになった時に消える音が増える。
Sを下げる LRで正相の信号が増える
Mを上げる LRの反対側chの正相の信号が増える
(真ん中の音だけに影響するわけではない)
Mを下げる LRの反対側chの逆相の信号が増える

2mix(LRの2chの信号として書き出した音声、DAWから書き出す完成された音声)のSを上げると一聴して派手になったように感じるかもしれませんが、料理全部に味の素や吉田ソースかけてる状態とでも言いましょうか、本来MIXの段階(松花堂弁当の料理それぞれの段階)でやるべきことを無視して毎日食べるもの全部に味の素をぶっかけていると、耳がやられます。
2mixのSを上げる行為については、全てを理解しての特殊効果を狙う以外に平常使用する場合は、モニターか耳のどちらかがおかしい可能性があります。
左右にパンされた音を上げるのであればMIXの段階でやるのが基本ですし、MS処理でそれを行うことはできません。
「とりあえず2mixのSをあげよう」、というメソッドについては、吉兆の接待を受けた時に、出される料理全部に吉田ソースをドボドボかけてたら、まとまる商談も破断になりますよね。そんな状態であるとともに、下記の危険性を腹みます。

で、結局、MS処理の「M」と「S」ってなんなの?

結論として、MS処理の「M」「S」は「ミッド」「サイド」では、全くもってありません。中央の音、サイドの音、では、ありません
その単語はあくまで1930年代に発明されたマイクの仕組み上のものです。DAW上で使う時はその言葉は完全に邪魔になります。
簡単に言うと、

です。

とでも覚えましょう。

MS処理のMには「いわゆるサイドの音」も含まれる。

MS処理のMはモノラルにしたときにも残る信号、なので、「棒グラフでよく表現されている誤った情報におけるサイドの音」も含まれています。
なので、例えばMにEQをかける場合、「モノラルにしたときに残る信号」にEQをかけているのであって、「センターの音にEQをかけている」のではありません。
「センターにEQをかけている」つもりが、「いわゆるサイドの音」にもEQをかけているのです。
MS処理で一番怖いのが、音が消えるより耳が壊れることです。「いわゆるサイドの音」にもEQがかかっているのに、気づかないなら、それはそれで問題ですよね。
また、逆相の定位感に慣れてしまうと、完全にスピーカーの音を勘違いして記憶してしまい、日常の音楽制作にも支障が発生します。


MS処理とは、具体的にこういうことです。酷い歌ですが聞いてください。

歌はiPhoneで本当に何も考えずに録音したものです。

お聴きいただく前に謝罪させていただきます。申し訳ありません。

MS処理について説明したサイトは多いですが、実例のサウンドのあるものが少ないので、実際に聴いてみるのが早いでしょう。

当然ですがちゃんと位相のあったステレオスピーカーで聴いてくださいね!

スマートフォンのスピーカーなどで聴いても分りません。

1. MS処理後の、M,S両方出し

Studio OneでMS処理

普通のステレオの楽曲になります。MS変換しない状態と同じです。

2. MS処理後の、Mのみ。モノラル成分だけ。

Studio OneでMS処理

伴奏の成分にもモノラル信号が含まれるので、このようになります。スピーカーの位相があっていない場合は、よくわからないかもしれません。

1. MS処理後の、Sのみ。ステレオ成分のみ。MS処理とは何か、犬でもお分りいただけるでしょう!
「Sを上げる」とは、「モノラルにした場合に消える音を増やしている」 という理屈です。

Studio OneでMS処理

歌のおじさんの声がモノラルなので、完全に消えてるのがお分りいただけると思います。これのボリュームをあげれば、よくある「MS処理とは?」の解説において「広がりのあるサウンド」になるとも言えますが、単に位相がずれているとも言ってしまえなくもないのが痛し痒しです。

具体的には、スマートフォン(ステレオスピーカー搭載は除く)などで再生した場合は、伴奏すら消滅してしまっていると思います。これが安易に「MS処理で広がりのあるサウンド」と言ってしまうことの問題点です。このページをスマートフォン(モノラル再生のもの)などで開いて聴いてみてください。

MS処理が何か、お分りいただけましたでしょうか。

早い話、上記の、MとSのバランスを調整できるのが、MS処理です。

songデータを用意していますので、こちらをダウンロードしてもお試しください。(Professional用のデータです)


MS処理をもっと理解を深めたい方にお薦めしたい記事

上記の説明をまず完全に理解してください。
その上で、MS処理について理解を深めたい方、実際に具体的にどう使うのか知りたい方は、NarukiさんのこのPhantom-MSのページをご覧ください。
おそらく日本語のページとしては唯一随一のMS処理解説です。

ネットの主流のMS処理"でSを上げる"の代替案

MS処理はわかってやってないと何が発生するか予測がつきません。で、ネットで言われるケースのほとんどが「Sをあげよ」というものですので、その代替案として、こちらのページを作成しました。モノラルの音声でも広がりがあるサウンドを得る方法のヒントになればです。

Studio One でのMS処理・・・上記を完全に理解するまでは非推奨です。

Studio One 上からのMS処理のプラグインは、MIX toolsで。

MIX toolの使い方は詳しくはこちら。MS処理をする場合は、MS transformをONにすればOKです。

LRの信号であればMSに、MSの信号であればLRに自動的に変換してくれます。賢いですね。

Studio OneでMS処理

Studio one 内部でMS処理を完結させてみよう

単体でMSのバランスを取れるプラグインはStudio Oneに付属のものではありませんので、 ちょっとしたテクニックが必要になってしまいます。

概ね、下記の通りです。説明は下部に続きます。

Studio OneでMS処理
  1. 楽曲を構成するトラックを、バスでまとめる
  2. バスの信号は直接メインアウトに送らないようフェーダーを下げ、センドを標準のポストフェーダーからプリフェーダーに切り替え、そこからFXチャンネルのMとS両方に送る。(FXチャンネルは右クリックでFXチャンネルを追加する)
  3. 二つのFXチャンネルに、それぞれMとSをつける(別に片方をチャゲ、片方を飛鳥にしてもOK。自分がわかればOKですが。Mが飛鳥、Sがチャゲというイメージがありますね。)
  4. 2つのFXチャンネルのそれぞれにMixtoolをインサートします。"MS TransformはONにします。ここではLRの信号なので、自動的にMSに変換されます。
  5. MについてはPANを左に、Sについては右に振り切った状態で、メインアウトに送ります。
  6. メインアウトにはMixtool をさして、LをMに、RをSに変換されたものを、再びLRに復元します。

Splitterが使える場合のMS処理

Splitterを使えるバージョンの場合はもっと簡単です。左上の天秤座のようなマークをクリックし、スプリッターをインサート、「チャンネル」で刺しておいたら、左がM,Sになります。必要な場合はそれぞれの系統に好きなエフェクトを指すことでMS処理が可能です。ただし、完全に理解してやらないと、怖いことに変わりはありません。基本的には飛び道具以外はフェーダーとパンでどうにかすべき場合がほとんどではないかと思います。

Studio OneでMS処理

MS処理のサンプルソングをダウンロードしよう!

すぐMS処理について実感してもらえるよう、Studio One用のサンプルデータを用意いたしました。音声はiphoneで録音したからm4aファイルですし、多分Professionalだけでしか再生できませんが(?めんどくさいから試してません!)、ダウンロードし、MとSのフェーダーを動かすだけで、MS処理とは何かがご理解いただけることでしょう!

>>>> おじさんの歌.songをダウンロード


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