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Dolby Atmos ってなんですの?

Studio One もバージョン6.5 から、Dolby Atmos に対応しました。
このページでは、Dolby Atmos の理解をなるべく簡潔に順序立てて説明するために必要となる、基本的な考え方を、DAWユーザー(主にStudio One)視点でまとめます。

Dolby Atmosってなんですの? 目次

  1. 立体音響(イマーシブ、空間オーディオ)のいろいろ
  2. Dolby Atmos とは何ですか?
  3. 実は既に聴いてる!? 豊富なDolby Atmos を聴くさまざまな方法
  4. スペシャル対談!古賀健一×駒野秀樹×埴輪
  5. Dolby Atmos が気軽に聞けちゃうスタジオのご案内

1.立体音響(イマーシブ、空間オーディオ)のいろいろ

はじめに:立体音響とその偏見・・・もっと自然な音へ。

立体音響というと、ギターソロがなぜかぐるぐる回るような、ギミック的な偏見を持たれるかもしれません。
しかし、音は元々立体的なもので、「ステレオ」もそれを目指したものです。現在まだ広く使われている、右と左だけの2本のステレオのスピーカーから出る「平面」よりも、もっと自然な音の空間が作れるシステムが本来の姿で、技術者たちはエジソンによる蓄音機の発明以来、常に立体音響に立ち向かい、そしてさまざまな「現実」という名の壁に時に挫折してきました。
近年この世界に大革命をもたらし、「現実」の壁を下げたのは、コンピュータの高速化です。
ライブのPAでも近年「ライブイマーシブ」として立体音響が導入されつつありますが、決して音が飛び回るギミックが目的なのではなく、人間の聴覚本来の感覚に近い「とても自然な音の風景」を描くことができる可能性を多大に秘めています。 もちろん、現実にはあり得ないクリエイティブな音空間の演出も可能です。

オブジェクトベース

立体音響の歴史と魅力を主に作曲家目線で・・・初めから人類はもっと立体的な音を求めていた!!

1.音が記録できるだけでも画期的

元々、聴覚は立体的な空間を認知するためのものです。

知恵の実を選んで進化したホモサピエンスの20万年(諸説あり)の歴史の中で、作曲した曲の記録方法が「譜面」しか存在しなかった時代から一変したのは、ようやく19世紀になってから。なんと、たったの100年ちょっとです。それ以前は立体音響しか存在しなかったのです。(ちなみに譜面自体も割と最近)
エジソンは最終的には今でいうビデオカメラを作りたかったのですが、音声セクションである蓄音機が1877年に先行して完成、モノラルの録音が登場しましたが、間も無く人類はもっと自然な音の空間を求め始めます。1881年にはオペラハウスから2本の電話線を通じて、今で言うステレオの配信の実験などが行われます。ちゃんとしたスピーカーの発明は20世紀を待たねばならないので、電話の受話器を耳に当てて聴くものでした。ともかくモノラルの音声に対して「ちが〜〜う!!」という違和感は、既に人類は持っていたようです。
1920年代には左右別の電波を使ったラジオ放送の試験も行われました。音の立体性を取り戻す探求は、モノラルが誕生して以来「速攻」で開始されていたのです。

 

2.ステレオフォニックの誕生

一方、後に立体音響を牽引することになる映画の世界では1893年のエジソンによるキネトスコープ、1895年のリュミエール兄弟によるシネマトグラフの誕生から、音声のない無声映画の時代が長く続きます。脱却できたのは30年後、1926年にウエスタン・エレクトリック社がようやく安定したシステム(フィルムに連動するビニールのディスク)を開発して映画に音がつくことが普及していきます。しかし、1927年の『ジャズシンガー』でも会話シーンに音声が付随するのは限定的な状況でした。普段何も意識せずに皆さんが使っている「ステレオ」という言葉も、この映画の音響技術を支え続けたウエスタン・エレクトリック社がギリシア語のstereós(ギリシア語で個体、また1832年に発明された立体メガネのステレオスコープなど)から「ステレオフォニック」として考案しました。

1930年代前半にはステレオ録音が開始されましたが、特に現在の左右2チャンネルに限定した言葉ではなく広く立体音響を意味し、どうしたら音に立体感を取り戻せるか、皆手探りでした。この黎明期にはトラック数でも2チャンネルや3チャンネルなどの試行錯誤が繰り広げられ、収録方式も様々に混在、MSステレオなどもこの時期に誕生しています。2チャンネルでもファンタムセンター(真ん中から音が聴こえるように感じる現象)については人間の聴覚に合わせた PAN LAW が考案されたりもし、今の形になっていきます。1940年代にはピアニストであり作曲家のラフマニノフもステレオフォニックを聴いた時には驚愕したようですが、それは今でいう Dolby Atmos でオーケストラの録音を聴いた時のような感動だったことでしょう。結果的にはそれから100年近くたった今でも、いまだにこのステレオ方式(最終的に2チャンネルが定着)が音楽制作の主流に止まってました。技術的あるいは予算的な限界もあったのですが、人類はステレオの音声に慣れてしまっていて、その平面的な不自然さを何とも思わなくなっていたのです。
ちなみに、この頃同じ頃映像のフィルムの横に音声信号を記録する方式が考案され、これが「サウンドトラック」の名称になります。しかし、映画でのステレオフォニックはまだまだ実験段階で、安価に安全にあちこちの映画館で上映するのは現実的ではなく、まだまだモノラルの音声でした。
『ニューシネマパラダイス』でもそういったシーンが出てきますが、この時代のフィルムはすぐ燃えてしまうのです。

 

3.アナログ時代にサラウンドへの狂気の挑戦をしたウォルト・ディズニー

ミッキーマウスがサイレント映画として登場したもののパッとせず、ウォルト本人が裏声で声優を担当した3作目の『蒸気船ウイリー』で初めて音声がついたのが1928年、ウォルトの止まらない創作意欲でモノラルが関の山だった時代に画期的な立体音響に挑んだのが1940年にディズニー映画『ファンタジア』で、人類初の挑戦的なサラウンド作品を生み出します。今でいうインスタレーションのようなものという解釈もできます。
特別に開発された9トラックの録音システムは、音声トラックのうち1つは今で言うクリックのトラック、残る8本のトラックで33本のマイクでオーケストラを囲んで録音された音源を使い、距離などで録音を仕分けたヴァイオリン、チェロ、ブラスなどのセクションと、それらのミックス、エアマイクで立体的な音響を再現しようとしました。試行錯誤の末、便利なデジタル機器などない時代なので最終的に3トラックにまとめられた音声信号を使って、主に3つ〜最大8台のスピーカー(興行では7台が最大)を使用したのですが、設定や設営に時間と能力が必要な上に人力のパンニングオペレートも含んだ複雑怪奇なもので、結局は一般化せず、『ファンタジア』は興行としても赤字でした。第二次世界大戦の世相もあり同じ年の『ピノキオ』も当たらず、労働条件も今でいうブラック企業として騒がれ株は大暴落、会社も大ピンチになってしまいます。最先端を走るのは大変!!

 

4.Dolby Laboratory による映画のステレオ・サラウンド再生システムの開発

ともかく人間はなるべく立体的な音を聴きたい、音楽家としても立体的な音を作りたいというのが本来の生物としての姿です。『ファンタジア』は普及作品というにはあまりにも先駆者すぎる破天荒な存在で、映画では1952には4トラックの再生システムが20世紀フォックスにより開発されましたが高価で信頼性が低い上、上映できる映画館もほとんどありませんでした。おまけに1960年代は大衆はケネディ大統領の暗殺をはじめテレビ放送のリアルタイム性などに夢中になってしまい、ハリウッドでも大量解雇などの映画そのものの停滞期を経て、モノラルを超える音声は1970年後半から、やっとこさ、かつ一気に進みます。
Dolby Laboratory で 1976年に Dolby Stereo として設備的な導入も安価な記録方法の開発が進めらました。Stereoと言っても、この段階で既に技術的には2チャンネルはすっ飛ばして4チャンネル(35mm)もしくは6チャンネル(70mm)の方式がありました。Dolby Stereo という仕組みは1976年の『スター誕生』(モノラルの制作予定が2チャンネルを自己投資しようとしてまでこだわったのは歌唱したバーブラ・ストライサンド本人!)を皮切りに1977年の『スターウォーズ』などで導入され、『スターウォーズ』の大ヒットにより映画館への Dolby Stereo の設備の普及が進むことになります。このことは当時の映画館の看板やリーフレットでも"70mm 6-Channel Dolby Stereophonic sound!"の文字が確認でき、当時は上のスピーカーはないものの、宇宙船が観客の上を通過するように聴こえる音響などが大絶賛を得ます。
Dolby の技術革新と功績で安定したマルチトラックオーディオの上映が可能になり、チャンネルとスピーカー配置も試行錯誤が繰り広げられ、1978年の『スーパーマン』を経て、1979年のベトナム戦争の戦場を描いた映画『地獄の黙示録』では後述する冨田勲の影響でリア2本とリアの拡充とウーハーを含む5.1チャンネルなど、初期に想定されたフロント5つ+サラウンド1つ(4チャンネルの場合はフロントLCR+サラウンド1つ)の構成から、リアのスピーカー重要性が上げられ、LFE(LowFreequency Effecct、いわゆるウーハー)なども使われました。ただ、現在でも Dolby Atmos の映画館が多くなく理想的な再生ができたのは限定的なように、多くの映画館の再生環境は最先端より遅れを取りますので、『スターウォーズ』も2/4/6トラックとモノラルのバージョンも作られていました。特に日本はこうした音響設備の導入が遅かったようです。

 

5.冨田勲の立体音響への執念

一方、音楽のステレオを含む立体音響化の歴史を辿ると、LPレコードが1948年に発表され、1958年にステレオ、1970年代前半にはクアドラフォニックサウンドという4チャンネルのレコードが発売されました。日本の電子音楽は黛敏郎を筆頭に始まりましたが、中でも税関の度肝を抜いて並の不動産を超える価格のMOOGを輸入した本格的シンセサイザー奏者の冨田勲も最初の作品『月の光』は、ステレオを超えて、いきなり4チャンネルで作成されていました。作曲家にとって立体音響は電子楽器を使う上では、アコースティックな響きに近づくための非常に魅力的な存在です。これらの作品群は世界的にセールスも記録し、前述した5.1チャンネルサラウンドの『地獄の黙示録』でフランシス・コッポラ監督は冨田勲に音楽を要請していましたが、契約の都合で実現しませんでした。

当時はステレオフォニックの再生装置(そのまま通称ステレオと呼ばれた)ですら高価な時代、クアドラフォニックのレコードは、再生環境を選びすぎるため、衰退していったのです。ステレオもクアドラフォニックも当初、各社さまざまな記録方式が作られたため力を合わせて普及するのが難しかったのもあります。
フォーマットが乱立することで結果的に文化として普及が難しくなる問題は、デジタル時代になってもメーカーの競争がある限り普遍です。(ちなみにMIDIはその逆を行くと言う画期的な発想だったため広く早く普及したと言えます。)
一方、冨田勲の立体音響の探求は止まらず、1981年のオーストリアの公演ではスピーカーをつけたヘリコプターからバリトン歌手の歌声を上空より再生するなどの、ぶっ飛んだ楽曲制作を行なっていきました。

 

6.デジタル技術で一気に広がった安定したマルチチャンネルの再生

本格的かつ現実的なマルチチャンネルの再生はデジタル化が重要な鍵を握ります。1982年にCD が発売、のちのホームシアターのスタンダードになるデジタルの5.1chは1987年にパリの著名キャバレーであるムーラン・ルージュにて、SSLのコンソールを使うシステムとしてキャバレーと共同で開発され使用されました。
デジタル技術の進歩はプロセッサーの進化と高速化ももたらし、後述するチャンネルベース以外のレンダリングもリアルタイムに可能になっていきますが、1990年代ではまだコンピュータから音声を再生することすら発展途上の段階で、汎用機で高度なプロセッシングなど不可能でした。

設備的にも導入の敷居を下げることは立体音響の普及には必要で、1993年にデジタル圧縮技術のDTSを使った『ジュラシックパーク』が作られると、日本でも『スターウォーズ』から20年近く遅れてようやく本格的に映画館にサラウンドシステムが導入され始めました。

7.ホームシアターの興隆

1996年に5.1chを扱えるDVDが発売になると家庭でもホームシアターブームが到来しました。家電量販店でも今では考えられないくらいのたくさん展示がメーカーによって行われ、1963年から「ホームシアター」の商標を持っていた富士通ゼネラルも1999年に無償解放し公式に一般的な単語になりましたが、視聴者側が、おそらくPC、携帯を含むインターネットの方が面白くなってきた・・・・というのは筆者の推定ですが、なんらかの要因で、2000年を過ぎると少しづつフェードアウトしていきました。Youtubeが2005年に始まったのも大きいでしょう。要はコンテンツの面白さが何よりも重要なのだと思いますが、家で視聴する動画は、リビングで鑑賞するものからプライベートなスマートフォンの中へと再生環境を変えていきました。このことは1960年代に映画がテレビにリプレースした状況と類似性があるかもしれません。逆に、映画については各地にシネマコンプレックスができ始め、映画は映画館で見るものという流れが取り戻されました。

そうこうしてる間に、Apple社は虎視眈々と立体音響を含む覇権を取りに来ていたのです・・・・つづく!!

立体音響?イマーシブ?

上のスピーカーを立体音響は正式には英語で Spatial Audio です。2005年にMPEGの仕様としてSpatial Audio Cording が制定され、後に仕様と名称がMPEG Surround、次に Spatial Audio Object Coding に改名、改訂されましたが、名称が一般化せず、天井スピーカーのあるなしなどでサラウンドとの違いをプロモーションするため、「イマーシブ(没入感)」という言葉が、2010年にどこからともなく使われ、定義なども曖昧なままに使われ出しました。
MPEGの"Spatial Audio"という名称がISO/IEC 2303-1〜3 と国際基準なのに対し、「イマーシブ」については定義が曖昧なままですが、なんとなく立体音響界隈「にも」使われています。 インスタレーションなどの広い意味でも使われていますね。

そういうわけで、頭より上の天井のスピーカーがないのがサラウンド、あるのがイマーシブという分類も行われる場合があります。
(ライブの立体音響、"ライブイマーシブ"についてはこのページの取り扱い内容とは全く異なる部分がありますので、ここではDolby Atmosを着地点とした話に絞ります。)

Step1 : 立体音響のフォーマットについて。5.1chとDolby Atmosは全く違う。

いきなり技術解説ですが、どうしても理解するのに必要なので頑張って読んでください。
次の3つがあります。

軍団 なかま 再生時のレンダリング 再生環境
A. チャンネルベース
  • ステレオ(左右の2ch)
  • 5.1chサラウンド
  • Dolby Atmos(一部)
  • Auro-3D
  • NHK 22.2ch
不要(単純な増幅で視聴可能) スピーカー数固定
B. オブジェクトベース
  • Dolby Atmos(一部)
  • 360 Reality Audio
  • DTS:X
要(高速な処理能力が必要) レンダリング次第で自由
C. シーンベース Ambisonic 高次AmbisonicやVRなどでの運用では高速な処理能力が要 レンダリング次第で自由

 

A.チャンネルベース

ステレオであれば、言うまでもありませんが、左右のチャンネルそれぞれに音声が記録され、そのまま再生されています。
メリットとしてはAuro-3Dのようにハイレゾ非圧縮でのサラウンド音声が楽しめる場合があります。
音声のフォーマットのMP3やDTSは圧縮方式なので圧縮を解凍するデコーダーは必要ですが、基本的に記録されたデータがそのまま再生されます。
1990年代後半には、ホームシアターブームで家電量販店で5.1chのスピーカーが大量に展示されていたことを記憶する年齢層もあると思いますが、 チャンネルベースの場合は、実際に台数分のスピーカーを用意する必要があります。5.1chであれば、高度な音声信号のリアルタイム処理が無理だった1990年代でも、単純に5+1ch=6ch分のアンプがあれば、サラウンドの再生ができました。(まだその時代は、民生機ではハードディスクに音声を記録すること自体高嶺の花で、パソコン上でシンセやエフェクト処理をリアルタイムに行うのも考えられない、あるいは少しなら可能になってきたところでした。)

ステレオのアンプの場合は、左右のスピーカーの片方しか接続しないと半分しか音が出ないように、センターにスピーカーを接続しなければセンターの音が欠けてしまいます。
先ほど述べた、冨田勲がヘリコプターのスピーカーからオペラ歌手の声を再生したのも、チャンネルベースです。ヘリコプターが迎撃されてしまうと、肝心のパートは消滅します。

チャンネルベース

B.オブジェクトベース

音声信号に対して位置情報を持っています。再生時に、設置されたスピーカーの数やヘッドホンに対応してレンダリングされます。このため、さまざまな再生環境に対応するのが、従来の5.1chなどのチャンネルベースのサラウンドと全く異なる点です。
位置情報はDolby AtmosとDTS:Xは半球(地球儀の半分)、SONY の360 Reality Audio は 全球で配置できます。

オブジェクトベース

C.シーンベース

360度の音をキャプチャします。ぐるぐる回すことができるので、VRなどに適しています。
再生時に、設置されたスピーカーの数やヘッドホンに対応してレンダリングされます。
Dolby Atmos では使用しません。 Ambisonics(アンビソニック)が代表的なものですが、Ambisonicマイク自体も作られたのは1967年です。
さまざまな事情で実現していなかっただけで、人類の立体音響への回帰は相当前からその歩みを始めていたのですね。

Dolby Atmos

Stop2 : ところで、7.1.4とか9.1.6って何?

スピーカーの本数として、3つの数字が並びます。意味としては順番に、水平軸のスピーカー、サブウーハー(LFE,Low Freequency Effect)、頭上のスピーカー、のそれぞれの本数に対応します。
5.1は頭上がなく水平に5本と1つのウーハー、7.1.4は7つの水平に1つのウーハー、4つの頭上のスピーカーです。
低音のサブウーハーに本数がないのは、人間は低音に方向を感じにくいからです。(9.2.6などではウーハーが2本になりますし、映画館の初期のサラウンドではリアにウーハーの役割をさせていたものもあります。現在の一般的なフォーマットはさまざまな研究の結果ですが、8ch cube なども含め、まだまだ試行錯誤は続くでしょう。)

Dolby Atmos

2. それを踏まえて、Dolby Atmosとは?

そもそもDolbyってなんですの?

Dolbyは、創業者のRay Milton Dolby(1933〜2013)の名前をとったDolby Labratories.Incという1965年にロンドンで設立された会社の名前からです。現在は Dolby Vision などの映像技術も開発していますが、元々は音声の専門の研究所でした。
ビジネスモデルとしては、開発した技術のメーカーへのライセンス提供を行なっています。


カセットテープでお世話になった人も多い Dolby B/C のノイズリダクションは、それなりの年齢の方で音楽愛好家なら間違いなく記憶していることと思います。最初に開発されたのがノイズリダクションで、当時まだSN比が40dBなどといった映画音楽はステレオ化以前にノイズや歪みに悩まされていました。Dolby社と映画の関係は1971年の『時計仕掛けのオレンジ』にてDolby のノイズリダクションが採用され、その後には映画のフィルム上の音声記録の方法自体も開発するようになります。立体音響としては、前述のように Dolby Stereo の開発から、前述の通り1975年半ばには Left-Center-Right の3ch、Left-Center-Right-Surround の4chをへて、1979年の『地獄の黙示録』ではリアが2chになり5ch(+LFE)となり、映画館の音響の改良に貢献していきました。
なぜカセットテープのノイズリダクションがBとCで、Aがなかったか?といえば、映画などに向けたものがAだったからです。


Dolbyのは映画館などの業務用だけでなく家庭で聞ける民生機にもライセンス提供のための開発を行うようになります。

ホームシアターの分野では、2chの信号からも逆相の信号などをうまく活用して取り出しサラウンドスピーカーを疑似的なチャンネルで再生する Dolby Pro Logic、1996年にDVD(最大5.1ch)の時代になって出てきた本当のチャンネルベースの Dolby Digital、Blueray の登場で家庭用の再生環境でもディスク容量が増え7.1chの音声記録が可能になる一方、 疑似的なサラウンドを発展させたDolby Pro Logic II (Music Modeではステレオの音楽も残響音をリアに飛ばすなどの疑似サラウンド化が可能)などを経て、さらに多様化する再生方式に対応したものとして、Dolby Atmos が登場しました。再生環境なども現代のものに合わせただけでなく、5.1chやステレオ機器などとの後方互換もレンダラーにより可能にした、最初からいろんな再生環境に対応するフォーマットとして開発されたようです。映画の作品としては2012年に『メリダと恐ろしの森』を皮切りに、Apple Music を通じた音楽配信も2021年6月から始まり、いつの間にかDolby Atmosの音楽作品を聴いている状況が生まれました。
5.1chのサラウンドと全く異なるのは、リスニングには多数のスピーカーを用意する必要がないということです。 あったほうがすごい音にはなりますが、必ずしも必要ではありません。


我々の住むこの太陽系第三惑星の地球には、Dolby Atmosの音声と再生環境が、いつの間にか大増殖していたのです。

Dolby Atmosが扱う情報は?

Dolby Atmos では、 チャンネルベース と、オブジェクトベース を両方扱います。両方の情報が再生環境に応じて適切にレンダリングされ、最終的に視聴者が用意したスピーカーやヘッドホンから出力されます。

DAWにレンダラーが内蔵されていない場合は、 「Dolby Atmos Renderer」 というアプリケーションに、「Dolby Audio Bridge」という仮想ドライバを経てマルチチャンネルの音声信号を送ります。 「Dolby Audio Bridge」を使わない場合は128ch+タイムコード1chの129ch in/out対応の オーディオインターフェイスとパソコンが必要になります。(outはスピーカーとリレンダラーの数による)
このDAWとレンダラーの二段構えの構成はStudio Oneに統合されたものでも同じなので、理解するにはこの仕組みを把握しておくのが良いと思います。

Dolby Atmos

Dolby Atmos は128chのマルチトラックレコーダー

Dolby Atmos は128本のマルチトラックレコーダーであると考えるとわかりやすいです。(それぞれにモノラル / ステレオ)
これは「Dolby Atmos Renderer」というソフトウエアの画面です。DAWに内蔵しているものではなく、単独で使用するそういう名前のソフトの画面です。
128ch 分の オーディオトラックがあるのが確認できると思います。(実際にはこの他、元々は映画用の規格なので129,130 に同期の信号が走ります。)
この128chのトラック(オーディオチャンネル)それぞれに「位置情報」を持たせることができます(ボリュームなどはありません) 。

Dolby Atmos

1〜10chはチャンネルベースに固定、その他のchはオブジェクトベース(アプリケーションによってはチャンネルベースにも変更可能)。

1ch 〜10ch は上の画面で紫色になっていますがチャンネルベースに固定されています。チャンネルベースのオーディオトラックはBedチャンネルと呼ばれ、2.0, 3.0, 5.0, 5.1, 7.0, 7.1, 7.0.2, 7.1.2から選択できます。 Objecを選択した場合は、Objectベースです。
Dolby Atmos の最大入力のBedサイズは7.1.2です。7+1+2=10なので、1〜10chは固定されています。
Dolby Atmos Rendererでは、11ch以降は、Bedチャンネルとオブジェクトを選択することができます。(Studio One に内蔵のRendererでは11ch以降はオブジェクトで固定になります)

Dolby Atmos

最大入力Bedチャンネルが7.1.2なのにスピーカーレイアウトが9.1.6などが存在するのはどういうことかというと、最終的にDolby Atmos Rendererによってオブジェクトの配置なども含めて、そのようにレンダリングされます。
なお、レンダリングされるスピーカーのフォーマットはレンダラーによって異なり、AppleRender では、手軽に、 4ch のスピーカーでもDolby Atmos の再生ができます。

Dolby Atmos

Studio One の内蔵のDolby Atmos Rendererの場合

Studio One でも以前からDolby Atmos Render を使えば Dolby Atmos 作品は作れましたが、Stuido One 6.5からはDolby Atmos Renmdererを統合(かっこよく言うとインテグレート)して、付属のプラグインでもリバーブやディレイも7.1.2のチャンネルベースに対応して、立体音響の音作りが手軽にできるようになりました。
なお、Bedチャンネルの組み合わせ(Studio One ではベッドフォーマット)は、Studio One では一つだけ設定できます。ポストプロダクションの用途ではなくて音楽制作用なので、この辺りをシンプルにした仕様ですね。(なお映画制作では音楽は軽い存在なので、それほどもチャンネルがもらえない場合もあるようです。)
よほどの事情がない限り、7.1.2 を選んでおくと間違い無いです。

レンダラーに入力するBedチャンネル(ベッドフォーマット)
Dolby Atmos
Dolby Atmos

Studio One のチュートリアルでは「よくわからない場合は7.1.2ベッドと7.1.4出力を選択すると良いでしょう」という、いささか投げやりな説明がされますが、それがどういうことかは、きっと、このページをお読みいただければ理解できるでしょう。

Dolby Atmos
レンダラーから出力するフォーマット

Studio One の場合は、レンダリングして出力する音声信号は、次の図の場所で選択します。
復習になりますが、ベッドフォーマット(チャンネルベース)はDolby Atmosの仕様上、7.1.2 が上限で、例えば、出力が9.1.6を選んだ場合は、その他のオブジェクトの情報やプラグインの処理などでアップコンバートされて、9.1.6ch の音声信号として、オーディオインターフェイスに出力されることになります。バイノーラルを選ぶとヘッドホンでのバイノーラル視聴を想定したものとなります。

Dolby Atmos

Studio One では各チャンネルで「空間オブジェクトパンナー」と「Surround Panner」が選択できますが、空間オブジェクトパンナーがオブジェクトベース、Surround Pannerがチャンネルベースで、上の「ベッドフォーマット」で選択されたBedチャンネル間のバランスをとるような挙動になります。
(!!右側のDolby Atmos Rendererの画面は、説明の流れからわかりやすくするためのもので、Studio One の画面ではありません!!)

Dolby Atmos

3.実は既に聴いてる!? 豊富な Dolby ATMOS を聴くさまざまな方法

Dolby Atmos を再生できる環境は、既存の5.1chのホームシアターを飲み込んでいつの間にか、この地球に大増殖しています。
先ほど述べたように、オブジェクトベースは再生環境が自由ですので、7.1.4 などのスピーカーを用意する必要があるのは、あくまで「制作環境」です。
音楽や映画を鑑賞する側は、必ずしも多数のスピーカーを用意する必要はありません。

iPhone

 

iPhoneは、既にDolby Atmos に対応しています。Apple Music ですぐにDolby Atmosのコンテンツを聴くことができます。
設定>ミュージック>ドルビーアトモスで「自動」か「常にオン」にするだけですが、詳細はAppleのサイトをご覧ください。

Dolby Atmos

Mac

Apple Silicon搭載のMac(M1以降)の本体のスピーカーはDolby Atmosの再生が可能です。Apple Music ですぐにDolby Atmosのコンテンツを聴くことができます。

M1以降のMac bookをお持ちの人は、既に Dolby Atmos を聴いていたんですよ!!

Dolby Atmos

さらに、AudioMIDI設定(アプリケーション>ユーティリティの中にあります)にて、手元の複数のスピーカーの本数に合わせてたDolby Atmosのレンダリングが可能です。
Appleレンダラーは独自の開発なので(VRの展開を見越したとの噂?)、特別な設定をしなくても、フロント2発、リア2発などの手軽な環境でもDolby Atmosの視聴が可能になっています。
なお、たくさんの出力のオーディオインターフェイスがない場合も「機器セット」で組み合わせて使うことが可能です。
4チャンネルであれば、かなり気楽に設定が可能ではないでしょうか。

Dolby Atmos

Air Pods / Air Pods Pro

アメリカで音楽を聴いている人の3割以上が聴いているのは、Air Pods シリーズ。Apple Music ですぐにDolby ATMOSのコンテンツを聴くことができます。
既に使っているという人は、知らず知らずの間に聴いていたかもしれません。iPhoneからなら、上の設定をするだけ!

Windows PC

Windowsパソコンでは、音楽配信ソフトがDolby Atmosには対応していないので音楽鑑賞としては難しいです。(2023年11月段階)ゲームなどでは、Dolby Access というソフトをインストールするとHDMIから出力できるようになります。有償のアドオンである「Dolby Atmos for Headphones」にてヘッドホンでDolby Atmosの視聴が可能になります。 「Dolby Atmos for Built-in Speaker」を搭載した一部の端末では、PC本体のスピーカーでも再生可能です。(ASUSの例

ゲーム

Xboxは2016年8月以降の機種(Xbox One S、Xbox One X、Xbox Series X、Xbox Series S)がDolby Atmosに対応していますが、Dolby Accessのインストールが必要です。XboxはDolby Accessのインストールでゲームや動画配信サービスが可能になるだけでなく、Bluerayや4K UHD Blu-rayのDolby Atmos再生が可能になります。バイノーラルはwindowsと同じ「Dolby Atmos for Headphones」にてバイノーラルが可能になります(同じアカウントで使用可能)
一方、SONYのPlay Station 5でも、2023年9月13日のアップデートにて、Dolby Atmosのゲームを楽しむことができるようになりましたが、PS5は独自の「Tempest 3D」を採用しているため、Dolby Atmos対応の機器を接続した場合は、Dolby Atmos として変換されますが、ゲーム自体はTempest 3Dで制作されておりネイティブではDolby Atmosに対応していないようです。PlayStationで真にDolby Atmosのフォーマットの再生が可能なのは、Blu-rayとUHD Blu-rayのみとなります。
SONY Play Station 5 が立体音響としてDolby Atmos を正式に採用したニュース(AV watch)

 

自動車

カーオーディオの分野でもDolby Atmos対応の自動車がどんどん増えています。
Dolby Atmos for cars 公式サイト

カーオーディオでDolby Atmosを体験した記事(AV watch)

Blu-ray

Bluerayプレイヤーでも、近年のプレイヤーであれば Dolby Atmos の再生に対応しています。テレビ側がDolby Atmosに対応していれば、ハイスピード対応の HDMI Premium ケーブルで接続して作品を視聴できます。
例えばSONY製品の場合は、2023年11月現在でUBP-X800M2, UBP-X700, BDP-S6700, BDP-S1500の4機種のラインナップですが、4K HDRおよびHi-Res AUDIO 対応の高級機であれば「DolbyAtmos対応」、それ以外は「出力が可能だが動作を保証するものではない」としています。>SONY社のサイト
映像は既存のテレビから出し、音声のみサウンドバーなどに接続する場合は、Blueray側の 音声専用のHDMIから音声信号を出すことができます(専用に2つHDMI端子があるモデルがあります)。この写真はPanasonicのDP-UB45-Kの背面です。

Dolby Atmos

なお、音声出力は基本的にHDMIから出すべきで、右側の同軸のデジタル音声出力は、著作権保護の観点からハイレゾの再生に対応していなかったり、最大で5.1chのサラウンドまでであったりなどで、最新の機器に接続する場合は原則として使用しない方がいいようです。古いAVアンプなどでは使用可能なはずですが、この辺りは民生機でも非常に複雑であると共にアナログと違ってデジタルは間違えると全く動作しないので、メーカーに確認するか、最悪やってみないとわからないでしょう。

サウンドバーやテレビ

ガチのDolby Atmosの制作環境をリビングに置くと、全然くつろげません。大袈裟なスピーカーシステムがなくても気軽でコンパクトに立体音響を楽しめるサウンドバーが増えていますので、家電量販店に行って色々と聴き比べてみましょう。Dolby Atmosに対応したBluerayなどから再生することができます。
(テレビからサウンドバーに音声を送る場合は、HDMI端子に"eARC",Enhanced Audio Return Channel と書いているモデルが必要です。動画配信だけならARCでも対応可能なものもあり)
ここでは、そのままでDolby Atmosを再生することができるテレビと、DolbyAtmos に対応したサウンドバーをいくつか紹介します。
・・・(Amazonのリンクが死亡しましたので、休止)・・・・

ホームオーディオシステム

サウンドバーよりもっと踏み込んだ家庭用のシステムもあります。天井のスピーカーを反射を使ってシミュレートする「イネーブルドスピーカー」というのもあります。(詳しくは家電量販店などへ!)
本当に色々な形状が開発されていて、SONYのものは4つのスピーカーですが適切なレンダリングにより上々のサウンドのようです。4隅くらいならリビングでもなんとかなるというもの。(こちらはイネーブルドを内蔵した4.0.4ch再生。ただしApple MusicからのDolby Atmos再生はできないらしいですが、ファームウエアなどで変わるかもしれないので、全てメーカーの最新情報を確認してください!)

その他のAVアンプでも、天井にスピーカーを設置するということを回避して音響的に上のスピーカーをシミュレーションするモードなどがあったりします。
様々な機種が登場しているので、こちらの分野は家電量販店へ行って、設置の条件や用途に合うものを選ぶと良いと思います。
(モニタースピーカーと観賞用のスピーカーの違いと同様、DTMでの音源制作用には使えない方向ですので注意)

なお、「Dolby Audio」はまた別の技術でAtmosへの対応を意味しないので、確認が必要です。

ちなみに次の項目で鼎談している古賀健一さんのご家庭のリビングのおすすめはこれだ!

>>> JBL Bar 1000

 

4.スペシャル鼎談!古賀健一×駒野秀樹×埴輪

Dolby Atmos
古賀 健一

福岡県出身。青葉台スタジオに入社後、2014年フリーランスとして独立後、Xylomania Studioを設立。2020年 DolbyAtmos 対応スタジオに改修。
これまでに ASIAN KUNG-FU GENERATION、ichikoro、Official髭男dism、D.W.ニコルズ、チャットモンチーのなどバンドサウンドから、Ado、Kenta Dedachi、クラシック、日本アカデミー賞優秀音楽賞を受賞した『月の満ち欠け』を始めとする映画音楽などの幅広いジャンルに関わる。
また、豊富な知識と経験を活かし、商業スタジオやミュージシャンのプライベート・スタジオの音響、機材コーディネイトおよびアドバイザーとしても活動し、日本の立体音響の普及に努めている。
『Official髭男dism ONLINE LIVE 2020 – Arena Travelers –』の特典Blu-rayを Dolby Atmos で収録し、国内最大級のオーディオ&ビジュアルアワード『VGP2021 SUMMER』企画賞を受賞、この他日本プロ音楽録音賞においてもそれぞれ優秀賞、最優秀賞、スタジオ賞を受賞。
wikipedia

駒野 秀樹

和歌山県出身。職業不定有職。河瀬勝彦ドラムバンドでシンセサイザーを勤めた後、作編曲家としての活動と共にDTMを扱う電子楽器メーカー、音響機器メーカーに関わった一方、CDから犬の服までいろんなものの制作を行なって、自分でもよくわからない主体性のない人生を過ごしてきた。2018年2月にスケジュールの都合で1ヶ月暇だったため「Studio One の使い方メモ」サイトを設立。DTM知識の貯金を食い潰す「ウサギと亀作戦」によって作られた膨大なDTM情報サイトの大部分はその一ヶ月で作られ、そのあとはアメリカネナシカズラの研究に没頭したため、更新はほとんどサボっている。最近はDAWそのものに飽きて、iPhone1発録りの『歌ってみない』『チューニングしてみない』『福山ケーブル讃歌』などといった退廃的な楽曲制作を行なっており、Studio One は起動すらしていない。2023年9月、予算3万円でお釣りが来るDolby Atmos再生システム『アホモス』を建立。義務教育卒業後の受賞歴なし。扁平足。

埴輪

3〜6世紀に各地で造られた土器。主な生息地は古墳。1980年代には奇行種がNHK教育(現在のeテレ)にも登場していたが例外であり、ほとんどの場合は古代の権力者の墓地である古墳の周りから夥しい数が出土する。世界最大の陵墓である仁徳天皇陵古墳には3万本以上の埴輪が並べられたと推定されており、日本全土には無数の埴輪があったと言える。
大和朝廷のあった西日本に多いイメージがあるが、国宝と国指定重要文化財の埴輪の4割は群馬県である。大和朝廷と関東・信越を結ぶ交通の要所であるとともに、地形的にも当時最速の乗り物・馬の育成地として優れていた群馬県には1万を超える古墳群があったとされ、馬奉行であった筆者駒野家のルーツである可能性がある。

NHKに出演していた奇行種のせいで人型のイメージが大きいが、由来は祭事用の壺であるため、大きく分けて大部分を占める円筒状の円筒埴輪と、人などを形取った形象埴輪に分かれ、いずれも中は空洞である。形象埴輪も初期は動物に始まり、ここで登場する人物埴輪が登場するのは5世紀以降であるが、埴輪はしょせん埴輪であり、生物ではなく土器なのである。

というわけで、Dolby Atmos を巡る鼎談、始まるよ!!

Dolby Atmos

駒野アホモス(3万円でお釣りが来るDolbyAtmos再生検証システム兼洗濯物乾燥機)を作って1ヶ月、たまたま暇だったんで1ヶ月丸ごと Dolby Atmos とライブイマーシブ以外を聴かないない、という偶然に奇跡的な環境だったのですが、1ヶ月ぶりにステレオ音声を聴くと、音が平面に張り付いてるのが奇妙すぎて、昔のアニメですけど「ど根性ガエル」の平面ガエルのピョン吉みたいな音像に一人でケタケタ笑ってしまいました。ステレオの音像には、実は脳が慣れてしまってるだけなのかもしれません。

古賀さんは、かなり早くからDolby Atmos に取り組まれていましたが、魅力を感じて多大な投資のもと取り組み始めたのは、どのようなきっかけでしょうか?
詳しいことはサンレコのを読め、って言われそうですが(笑) 」


古賀「そうですね。埴輪くん、サンレコの連載読んでくれました??」

 

埴輪「・・・・・・・。」


古賀「では、読んだことのない人の為にも、https://www.snrec.jp/entry/column/diy_immersive1(全25話)、一番単純な理由は、自分が立体音響や映画のサラウンドを真剣に取り組みたかったからです。なので、会社を作って資金を借りて、既存のスタジオをまず半分壊しました。ただ自分が思っていた以上に、Dolby Atmosの壁を厚く、その後はサグラダファミリア状態で、今も増改築を繰り返しています。今は、二つ目のスタジオを作っている最中です。」

 

駒野「Dolby Atmosの再生環境は完全チャンネルベースの5.1chと違って実に様々で従来のステレオの音源よりも多様化していますが、そういった広い再生環境に対応するため、古賀さんはどのような環境でモニターして作っていますか?」

 

古賀「僕は PMC の twotwo シリーズを使っています。Dolby Atmos スタジオのガイドラインに は、すべてのスピーカーの低域が 40Hz-3dB出ていることが条件になってまして、それを元に選定しました。しかし実際は天井のスピーカーは距離を優先して、twotwo5にした為、満たせてはいません。実はスピーカーに限らず、スピーカー距離や角度なども細かい指示があったりします。美しい古墳を作るのに角度が決まっているんですか?昔は歩数とかで測ってたんですかね?」


埴輪「・・・・・・・。」


駒野「埴輪くんは後から乗せられただけですからね。杭と縄で方眼紙的なものを描いて高さは三角形の計算などでやってたらしいですね。アホモスの設計に使ったアホモスひものもうちょっと正確な、賢い真面目なやつと言うと、当時の測量士から一緒にするなと怒られるかもしれません。
ところで、バイノーラルだけで製作してスピーカーで聞いてみたら完全に事故音源だった、という話をよく聞きます。実際のところ、Dolby が Dolby Atmos 作品のリリースにあたって強く推奨(英語では現在は should、以前は must だった)してる規定通りのモニター環境以外でのバイノーラルでのミキシングは、どのくらいできるものでしょうか? 」


古賀「Dolby Atmos に限らず 360Reality Audio でも感じてますが、数をこなせば6〜7割くらいの段階までは作れると思います。実際、僕のスタジオを使ってくれた方で、ヘッドフォンでほぼ仕込んできた方もいたのですが・・・今のところ、全員1からやり直しています(笑)」


埴輪「・・・・・・・。」

 

駒野「古賀さんのDolby Atmos 作品群(Apple musicのプレイリスト参照:https://music.apple.com/jp/playlist/kenichi-koga-dolby-atmos-works/pl.u-LdbqDYjTmgZbW)はクラシック作品も空間表現が見事ですが、同じ髭男のライブでも年代で考え方の変遷が興味深いです。Atmos作品はおそらく世界中のエンジニアが試行錯誤の途中ですが、古賀さんが制作を始めてから今までで、主に考え方が変わった点などはありますか?」

古賀「始めた当初は、正直どうしたら良いかわからないの中、手探りで始めました。録音してミックスしてみて初めて録音の甘さに気づく、その積み重ねだと思います。
結果、最初は7.1.4をまずイメージして録ってましたが、9.1.4、9.1.6、11.1.6みたいに、自分の頭の中をアップデートしている感じです。古墳も、最初から大きな前方後円墳作れないですもんね?」


埴輪「・・・・・・・。」

 

駒野「モニターの話とは矛盾するようですが、CGMが音楽を牽引していくのは間違いないことと思っていますが、オブジェクトベースというのは、従来のBUSの考え方よりもミュージシャンフレンドリーな仕様である可能性を持っていると考えています。一方、アホモスを作ってみて、これは一般のご家庭ではモニター環境の構築はなかなか現実的じゃないなということもわかりました。Dolby の規定では小さくても幅3m,奥行3.5m高さ2.4mや遮音性・静粛性など、先ほどの周波数特性以外にも指標が定められていますが、アホモスの182cm四方でもなかなかホームスタジオでは確保するのが難しいケースが多いと思います。作品のリリースのゴールキックをするエンジニアはシビアにやってもらわないと、というのはもちろんですが、気軽にミュージシャンにもAtmos作品の制作に取り組んで欲しいという観点から、何か簡単なアドバイスなどはありますでしょうか?」

古賀「製作者の方々は、まずバイノーラルで始めるのもよいと思っています。まずは一歩踏み出すこと、進んでみないと次の壁は現れませんから。」


埴輪「・・・・・・・。」


駒野「本日は貴重なお時間をいただき、ありがとうございました!古賀さんはセミナーも盛んにやられてますので、最新情報にご興味がある方はXのアカウント(@kogaken1207)をフォローして、実際に足を運んで聴いて体験して、勉強の機会を作るきっかけにもこのインタビューがなれば幸いです。
ところで埴輪さんは、Dolby Atmos の音は聞いたことありますか?」


埴輪「・・・・・・・。(意訳:千数百年の間ずっと土の中にいましたので、LFEの帯域しか聞こえません)」

 

5.Dolby Atmosが手軽に聴けるスタジオのご紹介

業務用スタジオとしてDolby Laboratoryが把握しているスタジオは、こちらのリストをご参照ください。しかし正直このリストは敷居が高いと思います。

一般に気軽にDolby Atmosが聴けたりミックスできる、みなさんウエルカムなスタジオを平等に西から東への順でご紹介していきます。

Dolby Atmos

鹿児島県 Chimpanzee Studio

webサイト及び住所

https://chimpanzeestudio.com/

鹿児島県 鹿児島市
お問い合わせフォームはこちら

スタジオより

Chimpanzee Studio(チンパンジースタジオ)は、Pro Tools HDX を核にリズム録りからオケ、ボーカル、ナレーション等の録音までを一貫して行える創造空間です。また、業務用途でのプリプロやポスプロ、DJ、MIDIによるトラック制作、CM制作を視野に入れた広いエリアをカバー。Dolby Atmosにも対応いたしました。
簡単なバンドのデモ制作から高度なプロダクションまでお気軽にご利用下さい。

Dolby Atmos

岡山県 Studio Be West 津山店

webサイト及び住所

https://www.bewest.net/

Dolby Atmos 対応の津山本店:岡山県津山市下横野
お問い合わせフォームはこちら

スタジオより

中国地方のレコーディングスタジオで唯一のDolby Atmosに対応したスタジオです。

ステレオから解き放たれた本来あるべき音楽を追求してみませんか?
現在は 7.1.4 のシステムですが、近日 9.2.6 のスタジオも完成予定です。

現在の 7.1.4 側のスタジオの設備については、フックアップ様でStudio BEWESTの Dolby Atmos 環境を取材していただきましたので、詳しくは こちらをご覧ください。

Dolby Atmos

愛知県 Matsui Sound Works ​ステリカリスタジオ

webサイト及び住所

https://www.stericali.com/

愛知県 安城市
お問い合わせフォームはこちら

スタジオより

中部地方初のドルビーアトモスミュージック制作スタジオSTERICALI。かつてない没入感の作品を作りましょう。

Official髭男dism、ASIAN KUNG-FU GENERATION、Ado等を担当する古賀健一氏によるシステムセットアップで即戦力の環境を整えました。
​まずは遠慮なくお気軽に試聴ご体験をお申し込みください。

リスニングルームへのDolby Atmos導入設置についてもご相談ください。

Dolby Atmos

富山県 ゴーストノート

webサイト及び住所

http://studioghostnote.com/

富山県砺波市表町

スタジオより

Dolby Atmos 視聴1人1,500円のリーズナブルな価格で体験可能です。
(最大6時間・利用時間事前申告制)

Dolby Atmos のセミナーなども積極的に開催していますので、ゴーストノート(Xリンク)立体音響普及委員会(twitter.com/immersivetoyama)をフォローしてチェックしてください!

機材リスト

アンプ DENON AVC-X6700H

スピーカー 6.1.4

JBL Control 28-1 × 2

JBL Control 25-1 × 4

JBL Control 16C/T X4

サブウーファー JBL STAGE SUB A100P X 1

プレイヤー Apple TV 4k (第2世代)

Fire TV Cube 4K(第2世代)

Blu-ray Player Panasonic DP-UB45 (4K UHD) プ

ロジェクター View Sonic X10-4K

Dolby Atmos

東京都 アルトフォニックスタジオ

webサイト及び住所

https://www.altphonic.com/

東京都豊島区高松
お問い合わせフォームはこちら

スタジオより

東京池袋のレコーディング•マスタリングスタジオ。

Precision 6をメインとしたIk multimedia社のスピーカーでDolby Atmos7.1.4モニター環境を構築。

ルームチューニング、ベースマネージメント、SPQでマスタリングスタジオクラスのフラットなモニターで楽曲の制作意図をキチンと聴き分ける事が可能。 また、7.1.4の他にもステレオ、バイノーラルヘッドホンを常設しているので比較視聴も可能。 勿論、ミックス制作も行っているので、Atmos用のプラグインも豊富に揃っている。
自宅でバイノーラル環境で制作した音源の最終確認やミックス、マスタリングの依頼も可能。さらにAtmos音源の配信サービスも行っている。 (Atmos音源の制作の他、アナログレコードのカッティングも行っており、日本ではこの様な独立系スタジオは2社しか存在しない)

---- Price ----

Atmos音源視聴 お一人様 4,400円 /H

Studio One の使い方メモの読者限定 先着5名様まで 特別プロモーション 3,300円 /H

IK Multimedia社のスタジオ取材記事!

Altophonic スタジオの記事はこちら!

ミックス、マスタリングや制作確認等の利用は要相談

東京都 Xylomania Studio

webサイト及び住所

東京都台東区入谷
webサイト:http://xylomania-studio.com/
お問い合わせは Xylomania Studio 公式Xアカウント または 古賀健一公式Xアカウント
Instagram アカウントも是非フォローしてください!

スタジオより

Recording&Mixing Engineer 古賀健一(プロフィールは上記対談コーナー参照)が経営するプライベートスタジオ。
202312月に11.2.6.4のレンタルスタジオをOPEN。
ミックスはもとりより、ポストプロダクションから作曲スペースとして、外貸しをスタート。
立体音響の制作を気軽に体験して欲しいという思いから、最新のシステムを導入し Dolby Atmos や立体音響の日本への普及に尽力しています。
-----TOPICS-----
(株)オタリテック様のブログに設備をご紹介いただきました。
オタリテックのブログ「Xylomania Studio様 PMCのスピーカーを導入」
>2023年末にオープン後、Xylomania 2st 初のDolby Atmos 作品が2024.2.3 坂本龍一「async -immersion2023」がリリースされました。

 

おはようございます😃

AMBIENT KYOTO 2023にて披露された
坂本龍一
「async -immersion2023」

Zakさんのサポートで、Dolby Atmos Masteringと Stereo Masteringを担当しました

@XylomaniaStudio⁩ とZakさんのSt-Robo Studioでミックス

🎧やイヤホンで是非!! https://t.co/yLnd0zgPVo

— 古賀健一 / Kenichi Koga (@kogaken1207) February 3, 2024

その他のPreSonus Studio Oneの使い方メモはこちら

 Studio One の使い方:各カテゴリーにジャンプします。

 内容が膨大になってきたので、サイト内検索がおすすめです: